オペラ「陰陽師」は私にとって20年ぶり、２作目のオペラで、作曲だけでなく台本も担当しました。１年半かかり切った甲斐あって、自分でも納得のいく作品に仕上げることができました。
　今回は、スタッフ・キャストにとても恵まれ、最高のメンバーで上演していただくことができました。シンプルな装置のみで幻想的な平安の光と闇を演出下さった久恒秀典氏、新作初演をドラマチックにまとめ上げ、場をいつも明るくタフにリード下さった指揮の鈴木恵里奈氏、平安朝の美しい振付・所作を熱心に丁寧にご指導下さった立花寶山先生、企画スタート時から細やかな配慮で公演を支えて下さった伊藤 潤氏はじめ、本当に多くの有能なスタッフの皆さんに支えられた舞台でした。またオーディションで選ばれたキャストの皆さんは役柄にピッタリで、長い音楽稽古、立ち稽古にも熱心に参加し、エネルギッシュな舞台を作り上げてくれました。
　今回は主催団体の意向で、オケではなく８重奏伴奏でしたが、私の意図としては室内楽ではなく、最小単位のオーケストラの認識で書きました。アンサンブル・ノマドの名演のおかげで、密度の濃い色彩的なサウンドとなりました。またフルートで見事な龍笛の音色を出して頂いたことは話題となりました。今回は立ち稽古の途中から見学することができ、通し稽古、オケ練習、オケ合わせ、G.P.と徐々に仕上がっていく過程が大変刺激的でした。ソロ、コロス、オケ、演出、振付、衣装、照明、プロジェクションマッピングが一つになった舞台は、本番で初めて見たのですが、想像を超えた美しい舞台に感動しました。
　委嘱・制作の東京室内歌劇場（代表理事・杉野正隆氏）の皆さんには総動員で公演を支えていただきました。まだまだ言い足りませんが、すべての関係者の皆様に、心からお礼申し上げます。
　近いうち「陰陽師」の創作裏話や、練習・本番の写真を集めたページを作ろうと思っています。もう少々お待ちください。
 
　「陰陽師」後、気が抜けたようになっていましたが、ようやく１つ、アカペラ小品集を書き上げました。大作を書くエネルギーはまだ湧きませんが、小品を書いただけで、脳が再稼働始めました。
　2月には「陰陽師」のほかにも、木下作品の特集コンサートが２つ開催されました。2/11「チェレステ　木下牧子の作品をあつめて（構成・指揮.國土潤一　Cho.チェレステ　Pf.高橋和美　小山里巴）と、2/24「原田勇雅バリトンリサイタル　木下牧子の歌曲作品による」（Br.原田勇雅　Pf.津島圭佑　A-sax.田中麻樹子）です。数曲取り上げていただけるのも嬉しいですが、特集頂けるのはとりわけ嬉しいものです。どちらも大盛況で、素晴らしい演奏に会場が盛り上がりました。関係者の皆様ありがとうございました。
　3月も特集コンサートがひとつ。3/15(土) 声楽家・小泉惠子先生主宰の「声泉会」による「声泉会コンサートシリーズIV　木下牧子〜歌曲の世界」が開催されます（銀座・王子ホール）。小泉門下の売れっ子声楽家の皆さんの演奏、ピアノに花岡千春先生（特別出演）、小泉恵子先生も歌曲集「秋の瞳」を演奏下さいます。興味おありの方ぜひお出かけください！私もトークで少し参加します。（詳細は下欄参照）